グルンドフォス: IoTによる「サービスとしての水」に向けた先駆的ソリューション

世界有数のポンプメーカーであるグルンドフォスは、Telenor Connexionとの高度なパート ナーシップを通じて、ポンプの世界にIoT技術を導入しました。これにより、水管理の改善 や消費エネルギーの削減、その他の最適化などを実現しています。グルンドフォスのIoT導 入事例をご紹介します。
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事例概要

自社の製品やサービスにコネクティビティを導入する利点に注目し、IoTに目を向ける企業が増えています。この分野で成功を収めるためには、IoTの実装戦略と目標をしっかりと見極める必要があります。この作業はどの企業にとっても難しい課題となりえますが、特に分散型の複雑な構造を持つグローバル企業において、その難しさが増す傾向があります。

世界有数のポンプメーカーであるグルンドフォス――そのデジタルトランスフォーメーションの軌跡は、実にユニークです。75年前に設立された同社は、箱に収められたウォーターポンプの販売から、IoTによるコネクティビティを導入した「サービスとしての水」の提供へと移行しました。

 グランドフォスにとって持続可能性は創設以来の中核的な視点であり、今日でも最優先事項であり続けています。

 2017年5月、グルンドフォスは、あらゆる産業の中で最もスマートなデジタルトランスフォーメーションを目指すという野心的な目標を発表しました。その達成により、水とエネルギーの利用効率が大きく改善されるだけでなく、環境改善の面でも大きな貢献が見込まれます。

 この目標達成に向けて、グルンドフォスではポンプ販売の専門会社から「サービスとしての水」を提供する会社に移行する必要がありました。そしてグルンドフォスはわずか3年の間に、デジタルトランスフォーメーションの第1段階として状態監視システムの販売から建物のエネルギー管理、水道ネットワークにおける水管理、現在進行中のさまざまなIoTの試験的運用まで、次々と成功させていきました。

 グルンドフォスでは、Telenor Connexionとの高度な協力的パートナーシップを通じてIoT技術を活用し、水管理システムの改善とエネルギー消費量の削減、その他さまざまな面での最適化を実現しています。

 以下のページでは、同社の成功へのステップをご紹介します。

背景

 グルンドフォスでは、世界の水と気候に関する課題を克服するためのソリューションを開発しています。その一例が、人々の生活の質の向上です。具体的には2030年までに、3億人の人々が水にアクセスしやすくなることを目指しています。

 このような世界の水と気候に関する目標を達成するために、グルンドフォスでは2017年にデジタルトランスフォーメーション化の取り組みを開始しました。つまり、ポンプを製品として販売するだけでなく、サービスとしてのポンプを提供する段階まで変革を推し進めてきたのです。その究極の目標はサービスとしての水の供給であり、言い換えれば、流れる水をサービスとみなして販売することです。

 グルンドフォスでは55カ国以上の顧客に対して、毎年約1,800万台のポンプを提供しています。しかし、電気ポンプによるエネルギー消費量は大きく、世界の電力消費量の約10%を占めています。そのため、きれいな水を供給する上で欠かせないポンプを使えない市場が、依然として少なくありません。

私たちの目標は、水をサービスとして提供することによって、世界中の人々の生活の質を向上させることです。 グルンドフォス 前デジタルトランスフォーメーション責任者
フレドリック・エストビー

「サービスとしての水」のビジネスモデル

 「サービスとしての」というビジネスモデルは、それらの製品が貴重なサービスになり得るという考えに基づいています。多くの場合、IoTによるコネクティビティを導入したこれらのサービスは、伝統的な製品販売によるビジネスよりも持続可能性がはるかに高い結果を生み出すのが一般的です。

 コネクティビティを導入したウォーターポンプによって「サービスとしての水」を提供することは、グルンドフォスにとって、ポンプユニットやシステムの販売だけに注力するのではなく、この水ソリューションによって可能となるさまざまな効果にも注力することを意味しています。コネクティビティを導入したポンプにより、水に関連する困難な課題へのソリューションを提供できるのです。

Telenor Connexionのグローバルなコネクティビティと運用ノウハウ

 持続可能性と変革に関する目標の達成に向けて、グルンドフォスではTelenor Connexionに対して水管理ポンプへのコネクティビティ導入を依頼しました。それに対し、Telenor ConnexionはグローバルマネージドIoTコネクティビティを提供。これは主にヨーロッパの水道網での状態監視と建物のエネルギー管理、水管理を可能にするものであり、将来的にはアジアと米国でのサービス展開も想定しています。

 これに加えて、デジタルに関する社内の多くの重要な研究開発プロジェクトにおいてもコネクティビティが導入されています。これらのプロジェクトの一部は、近い将来、市場に投入されることが予定されています。Telenor Connexionのマネージドコネクティビティを通じて、グルンドフォスおよびその顧客は信頼性の高い世界中のモバイルネットワークへのアクセスを手に入れたのです。

Telenor Connexionをパートナーとして選んだ理由は、世界的なカバレッジ、主要市場についての専門知識、革新的な考え方などです。お客様のコネクティビティ導入を可能な限り容易にすることが我々の最優先事項であり、それこそがこのパートナーシップによって大幅に強化された部分です。 グルンドフォス 前CEO
マッズ・ニッパー

サステナビリティへの挑戦

水に関する事実

  • 2021年2月時点で2.1億人が安全な飲料水にアクセスできていない
  • 世界のエネルギー消費量の40%は建物において発生
  • 世界の水生産の30%が水道網から漏洩
  • 世界の水消費量の70%は農業によるもの

出典:世界保健機関

サステナビリティに向けたグルンドフォスの取り組みを推進

 グルンドフォスの取り組みは、世界中の組織が水に関連する作業効率を高め、水管理を改善し、究極的には水の供給に関する制限を克服するための作業を支援するものです。同時に、グルンドフォス社内および顧客におけるコスト効率を共に高めることを目指しています。気候変動に対しては2020年以降、独自のサステナビリティ指数による測定可能な目標を設定し、持続可能性に関する取り組みを強化しています。この指数における目標の一つは、2025年までにグルンドフォスの水消費量とCO2排出量を2008年比で50%削減することです。

IoT による新サービスの実現

 グルンドフォスでは各種センサーおよびその連携データによる IoT テクノロジーを活用して、水管理を改善し、エネルギー消費量を削減することを目指しています。これらのセンサーから得られるポンプ性能に関するデータにより、グルンドフォスは自社製品をより適切に制御できるようになります。また、予測メンテナンス、状態監視、需要主導型配分などの新サービスを開始することもできます。さらに、ポンプにコネクティビティを導入することで、「サービスとしての水」などの新しいサブスクリプションビジネスモデルを提供できるようになります。

 すでに商業的にスタートした事例としては、グルンドフォスがコネクティビティを導入したデンマークの排水網があります。排水網にセンサーを導入することで、実際の流量と予測流量を比較分析し、漏洩などの問題箇所を特定することができます。

グルンドフォスにとっての利点

 ポンプにコネクティビティを導入することにより、グルンドフォスでは、それぞれのポンプの利用状況や、それらをより効率的に利用する方法についての詳細なデータを得ることができます。このデジタルトランスフォーメーションによる主な利点は、以下のとおりです。

  • サービタイゼーションと新ビジネスモデルを可能にするデジタルツールの入手 ポンプにコネクティビティを導入することは、「サービスとしての製品」ビジネスへの変革を実現するための最初のステップです。さらにグルンドフォスでは、「サービスとしての水」または「サービスとしてのポンプ」の提供を目指して、変革を続けています。
  • サステナビリティに関する目標の達成 グルンドフォスでは、グローバルな持続可能性に向けて社内外の目標を設定し、ポンプにおけるエネルギー使用量を削減することで、環境への影響軽減を目指しています。また、サービタイゼーションによってサービスを販売するためのモデルを構築しています。その結果、新たな市場を獲得し、以前はきれいな水にアクセスするためのポンプを買えなかったコミュニティに貢献することが期待されています。
  • 効率向上によるコスト削減 予測メンテナンスのデータを利用したニーズに基づくサービス運用を実現することで、メンテナンスの訪問回数と不要な部品交換を削減できます。
  • 顧客満足度の向上 使用状況に関するデータにより、自社および顧客におけるポンプ使用を最適化することができます。これにより、顧客満足度とカスタマー・ロイヤルティが高まります。
弊社のお客様はセンサーなどの新技術の導入を希望しています。ポンプの状態を監視し、対応を迅速化し、ポンプのメンテナンスを改善したいと考えているからです。私たちにとって、これはお客様に提供する価値を持続可能な方法で革新するチャンスです。 グルンドフォス 前デジタルトランスフォーメーション責任者
フレドリック・エストビー

エンドユーザーにとってのメリット

 グルンドフォスでは、ポンプへのコネクティビティ導入と並行して、顧客にデジタルツールを提供し、コスト削減、収益増加、運用効率の向上を実現しています。

 エンドユーザーにとっての主なメリットは以下のとおりです。

  • 予測メンテナンス ポンプやサービスを監視したり、問題が発生する前に修理したりする機能により、資産の使用率が向上し、顧客の運用コストが削減されます。
  • 状態監視による運用稼働時間の向上 顧客は必要に応じてリモートで対応できるようになります。
  • エネルギー利用の最適化、需要主導型配分、ピーク時節約 不要なエネルギー消費など、顧客における運用コストを削減します。
  • 漏水箇所の特定 センサー群が漏水の発生場所を見つけ、水量を監視。その結果、単位量あたりの供給水の正確なコストを保証します。

変革戦略:モノ世界とデジタル世界の出合い

 ポンプにコネクティビティを導入することは、グルンドフォスにおけるデジタルトランスフォーメーションの第一歩であり、長期戦略の一部です。同社ではデジタルとモノの融合による可能性を最大化するために、モノ部門とは別のデジタル部門を作らないことにしました。代わりに、従来の体制を組み換えるために独自の研究を行うことにしました。

モノ世界とデジタル世界の出合い

  • IoT接続、AI、センシング機能を利用し、ポンプをデジタルポンプに
あらゆる企業の中で最もスマートかつインテリジェントなデジタルトランスフォーメーションを実現することが、私たちの野望です。 グルンドフォス 前CEO
マッズ・ニッパー

 その後、グルンドフォスでは5年後の目標を設定する戦略を採用し、その時点で会社がどのような状態でありたいかを具体的かつ明確にしました。

5年後、自分たちはどのような会社でありたいのか?

  • 構築が必要な諸機能をマッピングする

ポンプのコネクティビティにおける将来性

 グルンドフォスのポンプは、商業利用が始まれば現場で何年にもわたり使用されることになります。そのため、広いカバレッジと長期保証があるコネクティビティを選択することが重要でした。新たなサービスやデバイスは柔軟な接続オプションを提供するものですが、多くの市場ではLTE-M※1がネットワーク技術として選択される傾向にあります。これは、2Gもしくは3Gネットワークが一部の市場において将来的に廃止される予定になっていることに備えたものです。LTE-Mならあらゆるデータ通信に十分な帯域幅を確保できるだけでなく、ポンプの将来性を見据えた幅広い可用性とグローバルなカバレッジを獲得できます。

 2G(GPRS)はバックアップ技術として機能し、国、地域、大陸をつなぐ物流に欠かせない国際的なカバレッジを実現します。LTE-Mはモノを接続するために特別に開発された新世代の接続性ネットワーク技術であり、4G技術をもとに構築され、業界組織であるGSMAによって支えられた5Gファミリーの一部です。

※1 LTE-MはLong Term Evolution(4G)のカテゴリーM1の略。IoTデバイスがゲートウェイやバッテリーなしで4Gネットワークに直接接続できる無線技術規格。LTE-Mは低コストと低データレートが特徴。長時間のバッテリー寿命が求められ、通信困難な場所で動作するIoTアプリケーションに最適。すべての主要なモバイル機器、チップセット、モジュールメーカーがサポートするLTE-Mネットワークは、2G、3G、4Gモバイルネットワークと共存し、モバイルネットワークのすべてのセキュリティとプライバシー機能の恩恵を受ける。

一つの窓口から全世界へ

 Telenor Connexionは企業に対し、複数の国におけるIoT接続を手軽に管理できる方法を提供しています。標準化されたSIM 1枚で、窓口も一つ。グルンドフォスをはじめとする各社は、コネクティビティに特化した専門家によるサポートのもと、ビジネス展開する市場の現地事業者からそれぞれ異なるIoT SIMを購入し、管理することによる負担を回避できます。

 グルンドフォスでは熟慮の末、最終的に以下の要件を満たすことにより、Telenor Connexionを選択しました。

  1. 世界中のグローバル企業におけるコネクティビティ導入・拡大の豊富な実績
  2. IoT専門家のグローバルなカスタマーサポートに支えられた、グローバルなカバレッジとローカルな専門知識
  3. 世界中でシームレスに動作するグローバルマネージドコネクティビティ
  4. 将来性の高いIoTコネクティビティ技術(グルンドフォスの場合はLTE-M)関連の能力

要点のまとめ

 グルンドフォスでは当初から同社のデジタル化計画をオープンにし、ビジネスへのコネクティビティ導入を目指す他の企業とも経験を共有しています。同社の経験に基づく主なアドバイスは、以下のとおりです。

  • マネジメントの焦点をしっかりと見定め、実行に移す。失速を避けてプロジェクトを促進するために、部署横断チームを強化する。
  • 変革が必要な理由とその実行方法を説明するIoT戦略を最初に策定する。
  • 社内組織が主要業務に専念して顧客対応に注力できるように、必要に応じて外部のノウハウを活用する。
  • 全速・全力を維持する。タイミングが重要なため、アグレッシブに進める。
  • 遅延を避ける。いずれのセグメントでも初期にコネクティビティを導入し、早期にビジネスを変革することで大きな先行者利益が得られる。

 グルンドフォスでは、顧客満足度、従業員のモチベーションおよび満足度、売上増加、売上リターン(EBIT)、現金循環化、サステナビリティなどに関する指数について、デジタルトランスフォーメーション戦略の成果を検証し続けています。デジタル化による新たな可能性を主要事業に組み込むため、ビジネスモデルの革新と再定義に継続的に取り組んできました。グルンドフォスでは今後も「サービスとしてのポンプ」事業および「サービスとしての水」事業の開始に向けた取り組みを続ける予定です。

企業概要

グルンドフォス

デンマークのビェリングブロに本社を置くグルンドフォスは、時代に先駆けたポンプソリューションで知られる水関連技術のグローバルリーダーです。1945年以来、同社では世界の水と気候の問題に対するソリューションを開発し、人々の生活の質の向上に取り組んできました。

グルンドフォスではエネルギー効率の高いポンプとスマートなデジタルソリューションの提供を通じて、住居および商業ビル、各種産業、上下水管理を含む各種セグメントのさまざまな応用分野に貢献しています。

直営の83社を56カ国に展開し、提携企業および代理店のネットワークを通じてさらに多くの国で事業展開しています。

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