IoTをめぐる未来予測2020

気候変動対策でIoTが果たす役割とは? 2020年および前年のIoTレポートをご覧ください。

新しい10年を迎え、私たちはアクセンチュアグループの一員であるNorthstream社と協力してこの傾向を分析し、「IoTをめぐる未来予測」レポートの第2版(2020年版)としてまとめました。私たちの予測は、IoTが気候変動との戦いにおいて積極的な役割を果たすだろうというものです。このレポートでは、IoTがコネクテッドエコノミーを牽引するだけでなく、より持続可能で責任あるコネクテッドエコノミーを実現するための重要な要素となることに注目しています。

IoTをめぐる未来予測レポート2020年版

コンサルティング会社Northstreamの分析を含む「IoTをめぐる未来予測2020」レポートの完全版は下記からダウンロードできます。

「IoTをめぐる未来予測2020」の概要

 

2019年の予測検証とこれまでの進捗状況

 

前回のレポートでは、2019年以降のIoTによるコネクテッドエコノミーについて、5つの予測を行いました。これらの予測は、今日でも非常に妥当性が高いものだと思われます。1つ目の傾向は、企業データがデータ取引で主導権を握ることでした。IoTを導入した「モノ」から収集した大量のデータについて、多くの企業は第三者へのデータ販売による収益化を模索しています。

私たちは、エンタープライズIoTのデータ(機械やセンサーなどからのデータ)が、大規模なデータ取引で注目を集めると予測しました。その理由は、カスタマーIoT のデータと比較して、保護規制が緩いためです。

2つ目の傾向として強調されたのは、デジタル化による価値創出の迅速化です。デジタル化ブームの初期に参入した企業が利益を確保する一方で、技術面については、複雑なシステムを自社で構築してきました。それに対し、デジタル化への新規参入者は、先行各社が体験した煩雑な作業を「スキップ」し、IoTソリューションをより高速かつ低コストで開発・展開するだろうと私たちは予測しました。

3つ目は、コネクティビティがデジタル製品のイノベーションの中心になるということです。高性能の接続ソリューションは製品パフォーマンスの決め手であり、デジタル化への鍵となります。それにも関わらず、コネクティビティの問題が後回しになっているケースが少なくありません。デジタル化された新製品・サービスを実現するために、企業は開発当初から接続技術を考慮するようになる、と私たちは予測しました。

2019年に確認された4つ目の傾向は、コネクティビティがeコマースをさらに推進するというものでした。現在、物流業界はeコマースの成長により急速な変貌を遂げています。スマートロジスティクスは、すべての関係者(サプライヤー、運送業者、倉庫など)を結びつけるコネクティビティを軸として、高額品の扱いや大規模化により事業規模を拡大しています。このようにAI、ロボット工学、センサーなどとの組み合わせによって、接続技術が物流革新の主な原動力になると私たちは予測しました。

5つ目の傾向は、コネクティビティ代行業務の重要性がさらに高まるというものでした。コンシューマーIoT 分野であってもエンタープライズIoT 分野であっても、特に製品・サービスが価格に敏感なセグメントを対象としている場合、接続技術としてWi-Fiが広く採用されています。ただし、これがスマートロックやSLA(ビデオ監視セキュリティサービスなど)の話になると、製品の信頼性と安全性をさらに高める作業が必要になります。そのような使用場面が増えると、ソリューションの技術的・商業的メリットの面で、コネクティビティ代行(携帯電話またはWi-Fiによるもの)が有利になります。そのため、現在ではこちらが主要な選択肢になりつつあります。

2020年代の始まりとなる今回の予測レポートでは、今後数年間に関する予測をもう1つ追加します。私たちはIoTが気候変動に対して重要な役割を果たすことを予測します。IoTはコネクテッドエコノミーを促進するだけでなく、持続可能で責任のあるコネクテッドエコノミーを実現する上で、さらに重要な役割を果たすことになるでしょう。

気候変動・地球温暖化との戦いの鍵を握るIoT

企業では社会と顧客、および規制当局からの圧力の高まりを受けて、環境への影響を減らしながら利益を確保するための方法を模索しています。しかし、利益確保と環境への配慮の2つの目的は、必ずしも矛盾していません。このレポートでは、これらの目標に影響を与えるさまざまな要因を探り、IoTが果たすべき役割を明らかにしています。

企業がその取り組みの一環としてIoTソリューションのデジタル化と実装に乗り出したことにより、製品の製造と輸送、サプライチェーン、さらにはメンテナンスにおいてまで、効率向上とコスト削減が大きく進展しました。このうちコスト削減の効果については、多くの場合、電気や燃料のほか、水、綿、鉄、木材などに至るまで、さまざまな生産材料の使用を最適化したことによるものです。

これは、IoTによる経済的利益を目的とした商業活動が、同時に持続可能性への積極的な貢献にもなったことを意味します。

何が原動力となっているのか?

現代の顧客は持続可能で倫理にかなう製品・サービスを選ぼうとする傾向があり、そのためであれば割増料金を払っても構わない、という人も増えています。ただし、どの選択肢がより持続可能であるかを見分けるのが難しい場合もあります。
そのため、顧客は購入する製品の調達方法、製造方法、輸送方法に加えて、企業全体の環境への配慮についても、より高い透明性を求めるようになっています。

このレポートで取り上げられているもう1つの要因は、規制によって企業に新たな要件が課せられる中で、気候変動との戦いにおけるIoTの役割が高まっているということです。企業が「カーボンニュートラル」に移行することにより、企業戦略をパリ協定の目標に合わせるために自主的に取り組む傾向が強まっています。

現在、二酸化炭素や汚染物質を排出し、天然資源を使用する企業に対して、世界中の政府がより厳しい法律を適用する傾向にあります。企業も自発的にカーボンニュートラルのための野心的な目標を設定していますが、これはもちろん、変化を促す非常にポジティブな推進力として捉えられています。各種の規制はすでに多くの産業に影響を与えていますが、温室効果ガスの排出削減に向けた各国政府の取り組みはまだ十分ではなく、「温暖化を2℃以下に保つ」というパリ協定の国際的合意は、すでに実現が遅れています。そして現在では、温暖化を1.5℃に抑えるための努力が続けられています。

予想される影響

人類が環境に与える影響を減らす上で、IoTが非常に大きな役割を果たす可能性があります。今後数年間のうちに、以下の状況が到来すると予測されます。まず、多くの商用IoTにおいて、持続可能性が不可欠な要素になるでしょう。環境の持続可能性は、もはや「スマート」なビジネスの副産物ではなくなります。そしてIoTソリューションはビジネス要件やテクノロジー要件ばかりでなく、持続可能性もまた重要な要件として設計されるようになります。
一般論として、新世代のテクノロジーはエネルギー効率が向上し、地球に優しくなっています。

企業は、IoT から得られるデータを活用して、環境に配慮した消費者や企業向けの製品を開発します。IoTデータを収集し、リソース使用を最適化することで、たとえば海運業界の排出量規制などの環境法に対し、技術・運用の両面で対応できるようになります。

また、環境意識の高い消費者に向けた持続可能な新製品もしくは新サービスの開発という形で、次の一歩を踏み出す企業も増えています。これらの企業にとって、持続可能性は「コスト」ではなく、ブランドアイデンティティと製品デザインの中核をなす「競争力」なのです。

持続可能な製品ライフサイクルへのIoTの貢献

企業はこれまで、なるべく安いコストでできるだけ多くの製品を製造・販売することを目指してきました。その一方で、製品の使用頻度や、製品が不要になったときに何が起こるかについては、あまり注意を払ってきませんでした。しかし、今となっては企業も消費者も、この「得て・作って・捨てる」モデルが、私たちが直面する現実にはもはや適合していないことに気づいています。 革新的な企業は、「循環経済」の原則を自社の製品ライフサイクルに適用し始めています。

このような姿勢は3R(スリーアール)の考え方に基づいています。つまり、資源の使用を減らし(Reduce)、製品や部品をなるべく再利用し(Reuse)、原材料をリサイクルします(Recycle)。

循環経済の1つ目の原則は、天然資源の使用を減らすことです。それは、無駄を省きプロセスを改善することに焦点を当てた設計・製造段階にも言えることです。IoTは、設計から製造まで、より持続可能な製品づくりに役立ちます。この原則は、流通の再考にもかかわってきます。つまり、より効率的な輸送と物流を可能にするのです。コネクテッドフリートは、IoTがすでに広く採用されている分野の1つであり、都市部において燃料消費量、渋滞、騒音、汚染の削減につながります。

輸送中の商品の位置だけでなく、その状態も監視できるようになります。

3つ目の原則である製品の再利用に関しては、使用状況の最適化、製品寿命の延長、製品の共有化に重点が置かれます。二酸化炭素排出の最大の要因の1つは、エネルギー源として燃焼される化石燃料です。そのため、エネルギー消費を減らして都市や建物の持続可能性を高めることは、IoTが最も積極的に貢献できる領域の1つです。

コネクティビティを導入したコネクテッド資産サービスは、電動スクーターや自転車、自動車などの乗り物から園芸用品や害虫駆除用品に至るまで、あらゆるモノをシェアリングする際の軸となります。IoTソリューションを活用した共有エコノミーは、製品の利用率を高めると同時に製品寿命を延ばし、廃棄物も削減して、循環型社会の実現に貢献しているのです。さらに、製品の所有権はサービスプロバイダーが持っているため、耐用年数の終わりに製品を廃棄またはリサイクルする際の責任の所在について、明確にすることができます。

廃棄物の分別と収集の改善は、収集とリサイクル機能に焦点を当てた再利用の原則の一部です。機能的で使いやすいごみ収集およびリサイクルのシステムにより、人々は従来よりもごみの分別に力を注ぐことができるようになります。この点は、廃棄された製品から材料を再利用または再製造することを目指す循環経済にとって重要です。

「IoTをめぐる未来予測2020」レポートでは、調達、製造、流通、製品の使用から回収、リサイクルに至るまでバリューチェーン全体を企業がどのように結びつけているか、そしてIoTが排出削減においてどのように重要かつ不可欠な役割を果たしているかを示しています。一例として、グルンドフォス社のスマートな水管理ポンプなどが挙げられています。

おわりに

温室効果ガスの排出量を削減し、持続可能な生活に貢献するIoTは、気候変動との戦いにおいて重要な役割を果たす可能性を秘めています。このレポートでは、多くの企業や業界リーダーがIoTソリューションを採用することにより、どのようにビジネス上の競争力があって環境にも配慮した革新的な製品やサービスを生み出しているかを示す事例を紹介しています。
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