バッテリー寿命とカバレッジの改善
バッテリー寿命を延ばす方法としては、デバイスのスリープモードへの移行やネットワークへの接続回数の減少により、デバイスとネットワーク間の通信量を削減することがあります。LTE-MとNB-IoTはどちらも建物の奥や遠隔地において、4Gよりも優れたカバレッジを提供します。ただし、バッテリー寿命、カバレッジ、レスポンスの間にはトレードオフ関係があります。この関係性を上手に活用するには、ネットワーク内の新機能(PSMやeDRXなど)を利用する必要があります。
高速レスポンスが必要な使用状況は、バッテリーの節約やカバレッジの拡大にはあまり適していません。あるいは10年間のライフサイクルが必要なデバイスの場合、カバレッジが良好なエリアに配置する必要があります。バランスのとれた運用には、バッテリー節約とカバレッジ拡大の調和が大切です。そしてスリープモードとリピーティングを適切に活用することで、バッテリー寿命とカバレッジを大幅に改善できます。
登場が見込まれる新たな価格モデル
LTE-MおよびNB-IoTの料金モデルは、IoTコネクティビティに含まれるトラフィックプロファイルが異なるため、従来の通信料金とは異なる可能性があります。LTE-MおよびNB-IoTによって接続されるデバイス数は膨大になりますが、送信されるデータ量は少なくなるためです。そこでネットワークプロバイダーでは、デバイスあたりのデータ消費量ではなく、LTE-MとNB-IoTのデバイスごとにアクセス料金を算出する方法を検討しています。
ハードウェアの簡素化
LTE-MとNB-IoTはどちらも4Gの簡易版を使用しており、大規模な稼働が始まった際、ハードウェアの簡易化とコスト削減が可能になります。
GSMAのウェブサイト(https://www.gsma.com/iot/mobile-iot-modules/)には、市販されているモジュールのリストが掲載されています。これを見ると、モジュール市場に3つのカテゴリーがあることが分かります。LTE-MモジュールとNB-IoTモジュール、そして両方に対応するデュアルモジュールです。
LTE-MとNB-IoT:グローバルな可用性と展望
すべての国におけるローカル可用性の実現に向けて
デバイスのグローバル展開を目指す際には、テクノロジーのライフサイクルを考慮する必要があります。
グローバル展開にはグローバルな可用性が必要です。しかし、新たなテクノロジーは通常、都市部においてのみ、もしくは国単位で展開されます。では、LTE-MとNB-IoTのグローバルな可用性は、いつ実現するのでしょうか?
現在、LTE-MおよびNB-IoTはすでにローカルで利用可能となり、グローバルな利用が次の目標となっています。
ある地域の特定事業者がLTE-MもしくはNB-IoTのどちらか一方を採用し、その後、同じ地域内の競合他社がもう一方を選択することもよくあります。
今後数年間で、すべての国においてLTE-MとNB-IoTのローカル利用が可能になることが予想されます。
国ごとの運用から出発するのも手ですが、もし、1回の契約と1つの窓口だけでデバイスのグローバル運用を実現したいのであれば、事業者間のグローバルローミング契約を利用する必要があります。
現在は4Gが広く利用されていますが、5Gの到来が近づいているため、2Gと3Gは徐々に廃止されつつあります。
そんな2Gは現在でもIoTに広く使われています。2Gの音声技術が使われている分野の1つが、eCallの緊急通話。これはEU内の各国において、事故に遭遇したドライバーに迅速な支援を提供するEUの取り組みです。
eCallは2018年4月以降にEU内で販売されるすべての新型認定車両で必須となりました。2Gの音声通話を義務付けるシステムのため、EUの事業者は2Gを廃止できないのです。
そのため2025年までの間、ヨーロッパの大半の事業者が2Gをサポートすることが予想されています。北米では2Gはあまり利用されず、アジア太平洋地域の一部ではすでに2Gが段階的に廃止されつつあります。
LTE-MとNB-IoTは、LTE-Mが先行する形で世界中での利用が可能になりつつあります。 LTE-MとNB-IoTは、5Gのライフサイクル全体にわたって利用できることが予想されています。